
- 親戚気分
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去年、北海道の士別市朝日町という町にある「あさひサンライズホール」という劇場で、芝居のワークショップと脚本、演出を担当した。1月の末から3月の頭に掛けての6週間の滞在だった。
これまでも東京や名古屋、沖縄などで芝居を作ってきたことはあったが、朝日町の生活は格別だった。なんせ旭川の空港から車で1時間半ほどかかるので、簡単に大阪に仕事で帰れないということは条件だったからだ。
そのために月一回やっているテレビのレギュラー番組を休ませてもらい、他の仕事も居り合いを付け、なにより留守の間の猫の世話を夫にだけ任せていくと不安なので、劇団員にバイトとしてエサと掃除に週二回来てもらうように手配した。
とはいえパソコンさえ持って行けば仕事は出来るし、コロナ禍でオンライン会議なども増えたので事情を言えばそれでも済んだ。その辺は便利な時代になったものだ。
と、まぁ去年も朝日町のことは書いたので詳しいことはいいのだが、なんせ6週間毎日会って一緒に芝居を作ったメンバーは一時の同志みたいなものである。
そんなことで去年から今年にかけていろんなものが北海道から届くようになった。
秋には「北あかり」というお米が10キロも送られてきた。「いや、うちの家ご飯そんなに食べへんけど」なんてビックリしていたら、暮からの米騒動である。ありがたすぎる贈り物を小分けにして食べさせてもらっている。東京公演をわざわざ観に来てくれたメンバーもいる。
そして初夏にはアスパラが2軒から届き、その後美味しいトウモロコシが届いた。「そうか、メンバーの半分は農家やってるって言ってたもんな」と思っていたら、冬に「雪の下キャベツ送ります」という連絡が来た。北海道ならではの一度、積もった雪の下で育てる野菜だ。糖度が増して熱を入れるとめちゃくちゃ甘くておいしい。
実は滞在時に住まわせてもらっていた一軒屋で飲み会をするようになり、みんなを招待していた。最後には「居酒屋わかぎ」と言われるほど毎日のようにキャストやスタッフがやって来てくれたので、農家のメンバーが「うちのジャガイモ」とか「これ、実家が牧場なので毎年牛を一頭潰すんで、おすそわけの肉です」というような生活だったのだ。雪の下キャベツもその時に頂いて、初めて食べたのだが蒸しただけで極上のお味で驚いたものだった。
そしてこの間は北海道新聞の記者をやっている子から「7月11日からオリックス戦ですよ。エスコン来ませんか?」となんと新しいエスコンフィールドという野球場へのお誘いが! 20年以上日本ハムのファンである私にとっては心躍る知らせだ。 スケジュールを縫って何とか行くことになったのだが、メールでチケットが送られてきたので「支払いは球場でするの?」と尋ねたら「サービスサービス」と言う返事が返って来た。くぅありがたやぁ! ということで現在までに、お米、アスパラ、トウモロコシ、チョコレート各種、玉ねぎ、ジャガイモ、雪ノ下キャベツ、日ハム対オリックス戦のチケットをゲットしたことになる。
北海道に親戚が増えたような1年半これからも大切にしたいものだ。あ、物が貰えるからじゃないですよ! ちゃんとお返しとか、芝居の時は差し入れ送っていますので。