
- 記者会見
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先月に続いて「じゃりン子チエ」の話になるが、先日記者会見があったので、その話を書こうと思う。というのも記者会見って何するんだ? という興味のある人もいるだろうと思うので。
記者会見、実は誰でも開くことが出来る。会議室などを借りて会見を開きますとマスコミに連絡したら記者会見になる。自分の半生を発表しますとか、子供が出来たことを知ってほしい、離婚会見をする、などなど話題は何でも構わない。問題はマスコミ側が記事になると判断して来てくれるかどうかであって、開くのはまったくの自由だ。
去年、日韓交流演劇祭というのがあって、うちの劇団も参加していたから記者会見を開こうと主催者に持ちかけた。「ええ? 記者会見、そんなこと出来ます?」と彼はびっくりしていたが、若手の演劇関係者なので、記者会見というと大きな会社の制作発表や、事件が起きた時くらいしか開催出来ないものだと思っていたらしい。「大丈夫、演劇記者の人に連絡して来てもらうだけやから。どこかの会議室2時間くらい借りとき」と指示して、小ぶりの会見をさせてもらった。
さて「じゃりン子チエ」の記者会見はご祈祷を兼ねてという事で、今宮戎神社で行われた。呼ばれたのは主役、チエ役の澤井梨丘ちゃん14歳。朝ドラ「ブギウギ」の主役の子供時代を演じていた女優さんである。あの頃は小さかったが、さすがに10代、背がかなり伸びていて「じゃりン子とちゃうやん」という感じだった。お母さん役の三倉茉奈ちゃんが「やばい、私と身長同じくらいかも」と心配していた。
父親のテツ役は波岡一喜さん。テレビドラマや映画で個性的な役を演じることが多い役者さんだが、会ってみるとメチャクチャ気さくな「ええ兄ちゃん」だった。大阪の天王寺出身ということで、下町言葉でまくしたてる新しいテツ像を作ってくれそうだ。
そして桂南光師匠、赤井英和さん、OSKの元トップスター桐生麻耶さん、毎日放送ラジオ「ぴかっとモーニング」のパーソナリティ山本浩之さんという一癖も二癖もありそうな面々、あとは私と演出の村角太洋氏の合計10人での会見だった。それぞれのマネージャーさんや、関係者、松竹の人たち、スタッフを入れると総勢40人位いただろうか、久しぶりに大規模な会見だった。
特にチエちゃんのお祖母ちゃんの役をやる南光師匠は初の女役なので注目が集まり「どんな役作りをしようと思ってますか?」と聞かれて「私、落語家なんで芝居は本職やないから役作りなんかしませんで、女の格好してる桂南光にしかなりませんわ」と答え、さすがの笑いをとっていた。
私はテツ役の波岡さんと2人で個別取材も受けたが、お互いに大坂の下町についてああでもない、こうでもないと喋っていたら「お二人はいつぐらいから交流があるんですか?」と聞かれた。2人同時に「さっき会うたばっかりです」と答えたら、向こうがびっくりしていた。大阪人同士というのは会ったばかりでも大阪弁という共通言語があるので「大阪のどこですか?」「玉造です」なんて会話したら、年齢関係なく幾らでも喋れるものだ。
そんなことで初めましての人同士も居たが、10人中8人が大阪人という記者会見は盛り上がって終了した。今から稽古が楽しみである。きっとみんなが喋りまくってうるさいくらいだろうが、その雰囲気をそのまま舞台に持ち込み、見てる人を楽しませてほしいものだ。
どうでもいいことだが、13時会見開始、15分前には来てくださいと集められた我々はチエちゃん役の澤井さん以外は全員、常識のある大人である。12時45分入りならば、先に食事を済ませてから行くにきまっている。
ところが行ってみると、控室にお弁当が積み上げられていてスタッフが「どうぞお食べ下さい」と言うではないか。来る人、来る人「え?お弁当があるんですか?」と小さい声で言いながら「食べて来たわぁ」と続けた。
組織が大きくなるとこの手の連絡が錯綜してる場合が多くて困る。集合の連絡に一言「当日はお弁当もご用意しております」と書いてくれればいいものを。「ただ、そこは大阪人が多かったので「勿体ないし貰って帰ります」という人がほとんどだった。もちろん私も持って帰った。夫が「ちょうどええ、ビールのアテになるわ」とおかずをつまんでいるのを見てたら、どう見ても1500円以上しそうないいお弁当だったので、つい「一言言うたらええのに」とつぶやいたら「ごめん!食べたらアカンかった?」と勘違いされてしまった。「いやいや松竹さんに言うてん」と答えると説明が長くなるので「ちゃうちゃう、ええねん」とだけ言って、私もビールを開けたのだった。