
- ここが肝心
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大阪人は何かとものを値切ると言われている。確かに一昔前まではデパートのような価格が決まっている店でも平気で値下げ交渉する人も居た。
食べ物などは「安ぅて美味しい」のが最上級の賛辞であり、「高くて美味しいのは当たり前や」と評価が下がる。高級食材も美味しいのに気の毒なことである。
しかしそんな大阪にも「ちびったらアカン」という言葉がある。ちびるというのは「量が減る」「欠ける」という意味だが「ケチ」にも引用される。
ドケチを指して「あいつちびり過ぎやねん。付き合いにくいわ」などと陰口を言ったり、「ちびって損したら、返って高ぅつく」などと言う時に使う。
中でもちょっとしたお金をケチったばかりに損をすることを「ちびったらアカン」と反省の意味もこめてため息混じりに言うのである。
うちの旦那は馬券を買うときによく言っている。彼は実にオッズに弱いうえに買い方がセコイので当たっても大したことはない。そしていつも「ちびったらアカンのう」と極道映画の真似をして不味そうにタバコを吸っている。
先日、私もやってしまった。流行している小ぶりのキャリーバッグをネットで買ったのだが…仕事上パソコンを持って歩くので、すぐに取り出せるタイプのフロントオープンタイプの物が前から欲しかったのだ。
デパートなどで下見をして買おうと思ったら、友達が「ネットならちょっと安いんじゃない?」と言った。なるほど調べてみたら、欲しいタイプのものが市販だと12000円だが、ネットだと10800円で売っている。
いろんな角度から写っている写真を見て、同じものだと確信して注文した。しかし送ってきた現物の中身を見たら、なんと肝心のパソコン用のケースが付いていない。私はもう一度同じ商品をデパートまで見に行き、それが付いているのがベーシックなタイプだと聞いて、業者に電話した。
すると「こちらの通販のタイプは付いてないんです」と言うではないか。そこでもう一度ネットのページを開くと、確かに付属品のところにはパソコンケースの内臓というような一文は見当たらない。しかし宣伝写真には、出張中のサラリーマンがキャリーバッグからパソコンを取り出しているところがあり、明らかに内臓ケースの一部が写っているのだ。写真はイメージです、なんて書いてもないし…しかし開けてしまったので返品も利かなかった。
実に残念な結果である。あんまりムカついたので、一応弁護士の友達に聞いてみたが「ケース内臓してますよって、書いてないことが業者のスレスレセーフちゅうとこやなぁ」と。諦めなさいよと言う声が聞こえてきそうな返事。
うーん…デパートで買えば納得のいくものだったのに、たった1200円と持って帰る手間を惜しんだばかりに…中途半端なものを買ってしまった。
「ちびったらアカンのう」私は旦那の真似をして、その日中やさぐれて過ごした。大阪人はケチではない。無駄なものにお金を出さない、始末屋なのだとよく言うが、今回の私は完全にケチっただけだ。猛省中であります!