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大阪ん♪ラプソディー

言葉
関西人は他県の人たちに比べると少々テンションが高い地域だと思われている。言葉のせいかいもしれない。と私は思う。
 例えば、友達と居酒屋で飲んでいたとする。その時、自分が食べようとしていた物を、友達が目の前でササッと取って食べてしまった。というようなシチュエーションの場合、関東方面のサラリーマンだったら「あ…」と言って何も言葉は発しない。
 都会に対して、地方と言われる他県の人でも「おいおい、それ俺のだよ」くらいは言うだろう。だが関西人はその時点で「ちょ待てや。お前行儀悪いなぁ」とか「あほか、それ俺のんやろう」などと大声で言う。
 関東人の「あ…」に比べたらもう喧嘩寸前みたいな言葉だが、ごく普通の会話だ。これを日常的ツッコミ文化というのだが、そこまで言われて相手は傷つかないのか?と聞かれることがある。
 そんなこと言ってたら、子供がちょっとふざけてはしゃいでいると、母親が「あんた、調子乗っとったら痛い目にあうで」などと普通に言うので、他県の人はさぞ驚くのだろう。
 そんな関西人の救済の言葉は「ええねんな?」の一言だ。「そういう行動をしていてもいいと思っているのか?」という意味だが、親子、先生と生徒、彼と彼女、上司と部下、飼い主と犬…あらゆるシチュエーションで使われる。特に子供の時は大人たちから「ええねんな?」と言われながら社会勉強するといっても過言ではない。
 いたずらをしてバレた時に「謝らんでも、ええねんな?」テストで酷い点を取った時に「お小遣い減ってもええねんな?」食べ物の好き嫌いでわがままを言った時に「明日から嫌いなもんばっかり出てきてもええねんな?」
 大人たちにそう言われながら自然とツッコミに慣れ、人がいけないことをした時には言ってもいいのだと学習するのだ。
 そして大人になると、いつのまにか「ええねんな」が取れ、いきなりツッコミを入れるわけである。
 外国人によっては「日本人は何を言っても、『ああ』とか『そうですね』とかしか言わないけど、関西人は会話をしてくれるから優しいね」と言う人もいる。会話を弾ませることが人間らしいと思う国の人にとっては、ツッコミ文化は人間らしいと映るのだろう。
 手前味噌だがいいことだと私は思う。日本人はお喋りを行儀が悪いと思いがちだが、そんなことはない。会話は一生の娯楽だと常々思っているので、みなさんにツッコミをお勧めしたいものだ。黙っていても、いつか誰かが気づいてくれるだろうと思うのは、ロマンチックな大間違いだ。