
- 人の話
-
最近、外注で芝居を作る仕事が続いている。仕事を頂くのはありがたいが、領収書ひとつもらうにしても、うちの事務所とルールが違うので毎日緊張気味だ。スタッフさんとのコミュニケーションも大変だ。特にどの現場も女性スタッフはなかなかに自由で読めない。
今一緒に仕事している衣裳さんは「明日衣裳送ります」などとメールしてくるのだが、次の日に来ない。「着いてませんが?」という問答を2日間繰り返し、その度に「明日になります」と言われ、けっきょく来ないのでもう一度と会い合わせると「明日送ります」と返ってきた。都合5日目のことである。
その間、荷物が着くと思って待っていたこっちの気構えや、受け取るスタッフのことを考えたことはないのだろうか?荷物を送りますと連絡して5日間、彼女は何をしているのだろう?
またある制作さんはとあるカフェで打ち合わせの際に「飲み物買って来ますね。えっと皆さんラテでいいですか?」と言い放った。私を始めそこに居た美術家や舞台監督は一瞬何を聞かれたのか分からず黙ったままになった。すると彼女が「あ、ラテ以外の方はどうなさいますか?」とまた聞いた。
「ラテというのはカフェオーレのことだよね。なんでコーヒーとか紅茶じゃなくてラテが基本なん?」と聞き返すと、しばし沈黙のあと「ええええ?みんなラテが当たり前かと思ってました」と言って逆に驚かれた。
どうやらご本人、普段はマンゴフラペチーノとか、キャラメルマキアートなどという得体のしれない甘い飲み物を頼むらしい。「ラテが一番甘くない大人の飲みものだと思ってました」と言い出した時「ブラックコーヒーって聞いたことある?」とツッコミをいれてしまった。ちなみに彼女は身長160センチくらい、体重は…80キロ以上ある。今後は甘くない飲み物を教えて行こうと思う。
舞台スタッフのNちゃんという人もかなり面白い。芝居で使う小道具の係なのだが、冗談と本気の区別があまりつかないようだ。おまけに帰国子女らしい。
先日も長丁場の稽古のあとで一人の役者が「あーここにキンキンのエビスあったら最高やなぁ」と言った…ちょっと略してるがもちろん「キンキンに冷えたエビスビールが飲みたいという意味である。
しかしNちゃんにはそう聞こえなかったようで次の日、彼の机の上に、小さな戎っさんの人形と、なんと魚のキンキ(北海道などでよく食べる高級魚ですね)の煮つけが置かれていたのである。小道具として要るものだと思ったらしい。
女性スタッフは自由だ。というか人に何か聞くとか、確認することが少ないように思う。
よく女は人の話を聞かないというが、まんざら嘘ではない。おたくの現場はどうですか?