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大阪ん♪ラプソディー

電脳世界
 ちまたでは「ポケモンGO」なるゲームが大流行中だ。ちょうど解禁日に東京に居たので渋谷を歩く人があっちこっちで「居た!」「ここにも居た!」と叫びあっている中をかき分けて歩く羽目になった。
 中には関西弁で「おった、おった。ここにおったでー」と大きな声で叫んでるオッサンとかも居て、あの日何も知らずに待ち合わせをしていた人はさぞややこしかったことだろうと思う。
 ちょうど芝居の本番中だったので、いい歳した役者が何人かすでにやっていて「楽屋の鏡に居る」と言い出した。「何がオモオロイねん?」と聞いたらグーグルと組んでいるゲームなので地図が正確で、そこにバーチャルのキャラクターが映り込むので面白いと言う。実際に画面を見せてもらったら、確かに楽屋にうじゃうじゃ居て、その瞬間は盛り上がったが、一人で楽しむほどの入れ込みは私には無いなというのが正直なところだ。
 あの日以来、事故の危険性や、不法侵入などの警戒が叫ばれている。ポケモンをやっていて私有地に侵入した外国人が土地の所有者である老人に「怪獣を捕まえにきただけだ」と弁明しても通じなかっとか。「当たり前やん!」と思わず新聞を読みながらツッコミをいれてしまったが、それほどの社会現象なわけである。
 なんでも鳥取県では「鳥取砂丘は建物も信号もなく、誰にも迷惑がかからないのでポケモンしに来てください」と宣伝してるらしい。うーん、砂丘でポケモンなぁ…雄大でいいが、飽きるような気もする。観光誘致に必死なのは分かるが長続きはしない気もする。
 インベーダーゲームに始まってコンピューター世界のゲームのブームはすでに40年を超えるようになった。その度に大人たちは子供が家から出なくなるので不健康だと理屈をつけてきたが、それも外に出ないと出来ないポケモンGOで言えなくなった。
 携帯電話一台あれば、電話はもちろん、音楽を聴きながら書類の確認、台本のチェック、メールの回覧で打ち合わせはもちろん、銀行の振り込みに、買い物まで出来る。近頃はパソコンを持たずに旅公演に行くことも多くなった。
 恐ろしいことにこの間、初めて買った覚えのないソフトの請求書がメールで送られてきた。そこには私の住所、本名、カードの番号まで書かれてあった。今、カード会社と連絡を取り合って追跡調査をするかどうかの段階だが、今更電脳生活を辞めることは不可能だなと実感中である。