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大阪ん♪ラプソディー

大阪のおばちゃん
 おばちゃんという人種の特徴をあげていくと全国的には「情け深い」「料理がうまい」「お節介気味である」「情に流されて主旨がまとまらない」「小銭を持っている」などだろうが、大阪ではその上に確実に「よく喋る」「格好が派手である」という項目が並ぶ。
 例えば電車に乗っておばちゃんの集団が居たとする。集団といっても3人くらいだが、それがよく目立つんである。
 まず必ずと言っていいほど3人中2人は柄物の服を着ている。ベーシックなところでは豹、トラ、ゼブラ、花模様などである。中にはバラの花の中にトラの顔がドンと付いている服を着ている人もいる。
 それから紫系の色合いのものを好んで着る傾向もある。紫色の豹柄のTシャツなんてのもある。もはや動物でもなんでもないが、柄だけは残っているところが面白い。そういうものを着ているおばちゃんに言わせると「普通の豹柄って黄色と黒やんか、ちょっと派手やなと思うて。紫の方がおとなしいし、上品やろ」と言う。
 この場合、3親等以内の人は、声に出して「どこがやねん!」とツッコミを入れることもあるが、おばちゃん達が意見を変えることはない。
 こういう人たちが3人ほどで、恐ろしいほど油断した会話をする。
「うちの娘、この間離婚してん」
「そうなん?なんでまた?旦那さん銀行員ちゃうかったん?」
「ちゃうちゃう、パン屋に勤めてやるねん。神戸パン、ちゃうわ…なんかそんな名前」
「ああ、そう。ほな誰が銀行に勤めてたんやったかいな?」
「知らん。誰のこと?」
「誰やった?」
 ネタでもなんでもない。昨日電車の中で聞いた会話である。普通の漫才よりもずっとトンチが効いていて面白かった。
 こういう「大阪のおばちゃん」達は、大阪名物のひとつだと思っていただければいい。他県に行くとお目にかかれないので、そう言ってもいいだろう。
 ちなみに彼女達は、改札口の前で急に立ち止まって財布を捜したり、赤信号をのろのろと歩いたり、ティッシュ配りのお兄ちゃんに「どうせ配るんやったら箱ごと貰うたろか?」などと言い出す。
 それに腹を立ててはいけない。なぜならば「いい加減にしてください」なんて言おうものなら「いやぁ怒ってはるわぁ」と言って笑われるだけだからだ。
 これから春になり気候が良くなってきたら旅行くらいするかもしれない。そのときに大阪のおばちゃんに出会ったら参考にしていただきたい。
 と、いうお節介行為も私が大阪のおばちゃんゆえですが…。