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好きなことを仕事に!なんていうが、なかなかそうはいかない事は誰でも分かっている。今の小学生に「将来つきたい仕事は?」と問うと男女ともに「会社員」と答える。子供でさえ安定思考なのか!と驚いてしまうが…
平日は会社員としてきちんと働いて、土日は好きなことをするというライフスタイルがすっかり定着しているのだろう。少し前までは上位に「ユーチューバー」とか「サッカー選手」などが上がっていたが、そんな夢はとっとと諦めて、現実的な「好き」を極めたいということなのだろうか。極めて正しいし、誰も反対する権利はない。が…少し寂しい気もする。
演劇関係という、世の中で一番安定していない、保証も何もない世界で口を糊してきた私だって「俳優になりたいんです」という若い人の相談に対して「絶対食われへんっていう覚悟がなかったら止めとき」とはっきり言う。それくらい好きを仕事にすることは難しいことなのだ。
と、思って生きてきたが…先日とんでない求人広告を見た。「猫ちゃんのお世話 正社員募集」という、そんなものが世の中にあるのか?という広告である。そう!この連載をさせてもらっている三協精器工業さんの広告だ!
出勤日は土日祝、勤務時間は朝の9時から夕方5時まで、年間休日240日。なんと月給18万で、賞与があるという。いやいや給料8万くらいでええんちゃう?とか、賞与ってなに?と混乱してしまった。猫が好きな人が週末だけ働いて給料もらうってあるわけないやん!バイトやったらまだしも…とも思ったのだが、本気の求人だった。なんと1名の枠に400名以上の応募があったという。正社員になる人は高すぎる倍率を突破した貴重な社員というところだ。
「猫ちゃんが大好き」「一匹ずつきちんと面倒をみてくださる方」「土日祝休みなく働ける方」という条件だが…空前絶後のペットブームであり猫好きだらけな今の日本で、こんな夢のような求人をされたら、そりゃ400人くらい募集あるわ。なにこれ、猫まみれの働き口って私が行きたい!と思ったくらいだ。いやいや危ない危ない、演劇人は土日こそが働きどきだった。芝居止めないといけないところだったと途中で反省したが。
考えてみると、三協精器の社長である赤松氏はこれまでにも本職ではない羊肉の専門店や、羊の牧場を展開してきたし、その羊の出産から思いついた胎盤を利用した化粧品会社も立ち上げている。どんな発想力やねん?と感心してきたが、さすがに猫の世話係の正社員募集には度肝を抜かれた。
「好きを仕事に」は叶えるために努力を重ねた人だけが勝ち得るものではなく、「好きだから仕事に」という発想で現実的に考えれば、形になって行くものだと改めて思った。
そういえばロサンゼルスドジャース所属の投手、山本由伸選手の小学校卒業時の将来の夢は「サラリーマン」だったそうだ。子供の頃は安定を望んでいたのだろうか。世界一の投手になってあんなに楽しそうな山本選手だが、つまり彼の夢は叶わなかったということだ。何が起きるか分からないもの人生、どこで繋がるか分からないのも人の縁。三協精器工業の新入社員さん、お仕事楽しんでください!応援してます。