ホームへ戻る > エッセイ&コラム > 大阪ん♪ラプソディー > 大阪ん♪ラプソディー【第4回】
早いもので、今年ももう残すところふた月になった。今年は仕事の関係で北は札幌から、南は沖縄までいろんな所に行かせてもらった。
日本中、いずれも美味しく、楽しかったが…どこに行っても「大阪から来ました。」と言うと、相手が「ああ、大阪。じゃあこっちはつまらないでしょう?」と聞く人に会う。
「いやいや、面白いですよ」と言っても「いやぁ、大阪の人は面白いから、こんな何も無い田舎じゃつまらないでしょう」と言うのだ。
テレビの影響もあるのだろうが、大阪は日本の別天地みたいに思われているような感覚になる。そういえば昔、九州の新聞記者に「大阪って、いつ独立国家になるんですか?」と真面目に聞かれたこともあった。
先週も信州に行ったのだが、温泉で出会ったおばあちゃんに「大阪から来たの?じゃあこっちは見るもん無いでしょう」と心配そうに聞いてくれた。「いやいや、ありますよ。明日も善光寺さんに行きますし、なんやかんや大阪には無いもんばっかりですよ」と言うと「大阪には法隆寺や立派なお寺が沢山あるでしょうに」とまた言うので「いや、あれは奈良です。そやし、こっちのお寺はまた違いますよ。」と、露天風呂の中で裸のまま、何ゆえに信州の良さを語らなきゃいけないのかと思った…。
その上、昨今の橋下市長殿のことで日本中の人が大阪に対する見方をさらに偏らせている感触もある。
「ああ、大阪ですか。大変ですねぇ。大丈夫なんですか?」と沖縄まで行って言われても「はぁ、まぁ」としか言いようがない。大阪は良くも悪くも日本中の人から何かとイメージ付けられているようだ。ありがたいような、迷惑なような。複雑な気持ちである。
一番困るのは大阪人だから何か面白いことを言うに違いないという雰囲気になる瞬間だ。周りの空気が 期待で 高まっているのを感じると申し訳ない気持ちになって「すみません。大阪人やからいうても、何も面白いこと言いませんよ」と言うと、「やだぁ、もう面白い」と応えられたりする。
「いやいやいや、マジで。何も面白くないんですって!オチないですから私の話」とさらに言うと、また笑われる。「あのぅ真面目に言うたんですけど」とこっちは 違和感が沸くが、オチのないことを断る行為がもう面白いらしい。
狭いようでも地方、地方に豊かな特色のある日本だが、どうも大阪に関しては見方が決まっているようだ。
是非、これを機に真面目な人間も多いことをご理解下さい。このエッセイだって今回は硬いでしょう?ね?