大阪ん♪ラプソディー【第5回】

大阪ん♪ラプソディー

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「大阪男の変貌」


 大阪の男にとって妻とは家のお金全てを牛耳る存在である。これが東京に行くと友人達が「え?大きなお金は男が管理するんじゃないの?」と言う。なるほど、お江戸あたりでは武家社会の名残で父親が旅行や電化製品のような大きな買い物を決めるらしい。
「お父さんが冷蔵庫買うのに何日か悩んでた」なんて関西人には想像を絶する話だ。
 大阪では男が家に帰ると新しい冷蔵庫がドンと置いてあることなんて珍しくはない。もちろん妻が勝手に買うのだ。旦那が家に帰っていきなり新しい冷蔵庫に遭遇することなんて事件でもなんでもない「これどうしたん?」と聞いても「買うてん」と言われ、「あ、そうなんや」で終わってしまう。
 商売人が多い町だったので、男は付き合いのために外へ行き、女が家を切り盛りするのが当たり前だったからかもしれない。親友の父は「今度うちのお母ちゃんが旅行に連れて行ってくれるねん」と言うが、商売をしているので「そのお金はおっちゃんが稼いだんちゃうん?」と言いたくなるが、家のお金は女房のものという感覚なのだろう。
 今では日本中のサラリーマン家庭がそのスタイルだが、元々は関西流だったことを知っていただきたい。「うちの嫁が小遣いくれないから」と自分がお金を渡しているのに苦労を買って出ている日本の男たちは基本M体質なのだろう。
 しかし、最近の若者は少々違うようだ。うちの劇団の女優Tちゃんは30歳にして晴れて結婚したのだが、旦那のW君がニートのために芝居をしながら働いて養っている状態だ。
「もうちょっと働いてもろたら?」と小姑気分で言ってみるのだが「ええんです。いつか変わってもらうんで」と笑っている。他にも似たようなカップルが数組。
男も女もないのはいいのだが、実に無計画というかスローライフになってきたようだ。
TちゃんとW君はお金のない日は2人で「お腹すいたね」と言いながら見詰め合うだけでなんとかするそうだ。W君みたいな大阪男が増えるのは…どうだろう?

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