ホームへ戻る > エッセイ&コラム > 大阪ん♪ラプソディー > 大阪ん♪ラプソディー【第119回】
5月の中旬に左上腕部を粉砕骨折し、緊急入院からの手術という体験をした。骨折は過去に2回ほどあるが、入院までして手術したのは初体験だった。過去に折ったのは鎖骨と右足の小指の付け根だった。鎖骨の時は「ともかく肩を上にあげないで」というだけで骨が着くまでの4週間をひたすら待つ生活。右足の時は「え、こんなに?」というほど大げさな感じでふくらはぎの真ん中くらいからギプスで固められた。
骨折は骨がつくまで待つしかないのだな、と経験から思っていたのだが、今回は違った。まだ手術をする前から「今からリハビリのスタッフが来ます」と告げられた。
「リハビリ」もちろん言葉は知っている。怪我をした後で固まった身体を元に戻すために動かす指導したり、スポーツ選手なんかだと弱った筋肉を補うための訓練をしたりするあれだ! しかし最初は「骨折したばかりの私に何の御関係が?」と思っていた。まして手術前である。
まず女性のスタッフがやって来て「指は動きますか?」と聞かれ、それが出来ると、今度は手首が動くかどうかの確認。それから「手術した次の日からリハビリが始まります」と告げられた。
「え? 手術した次の日からですか?」と聞き返したが間違いではなかった。私の腕は骨がバッキバキに折れていたわけだが、手術は腕の真ん中にプレートを入れて、ビスで止めるという工事みたいなものだった。骨自体は自力でくっつくようにセンターを固定するということだ。ということは骨はまだバラバラなわけで大怪我したままなんである。肩から腕が腫れあがっている状況だ。
それなのに手術した次の日に来たリハビリのスタッフが、その腫れた腕を揉み始めた。「ええ? なにこれ、揉んでええの? 怪我してるのに」みたいな気持ちだったが、どんどん揉まれた。「めっちゃ腫れてますね」
と言われたが「当たり前やん!」とも思った。
ところがである。揉まれたら少し楽になった。「手術で固定されてるので、痛くてもすぐにリハビリした方がいいんです。放っておくと、そのまま固まってしまうんで」との事。その日は2人のスタッフが2時間おきくらいにやってきて、いろんな動きを教わった。
友人の元整形外科の看護師によると、人間の身体は手術後すぐから急性期、回復期が始まるので、今はその瞬間からリハビリをするらしい。回復期は身体が元に戻ろうとする時期、それを過ぎると戻らないのだと言う。つまり手術をしたからには、多少の腫れなどおそれずに回復に向けて動きまくれ、すると身体が反応するというわけである。
で、実際にやってみた。身体を動かすことを商売としている演劇人に言いましたね? というチャレンジ精神に火がついてしまった。そしたら術後2日目には可動域が前日の倍くらいになり、痛いけど良くなっていく進化を感じるようになった。
今は「すげ~身体。私の身体、すげ~」と感動しながら毎日を過ごしている。そしてひとつ発見した。家事が一番いいリハビリだと。とくに拭き掃除は最高だ! おかげで今我が家はピカピカである。