ホームへ戻る > エッセイ&コラム > 大阪ん♪ラプソディー > 大阪ん♪ラプソディー【第120回】
今年は4月からずっと東京で仕事をしている。3ヶ月も居るのは久しぶりだが、慣れた東京なのでそんなに目新しいこともない。
はずだったが、途中で左腕上腕部を粉砕骨折し、人の多い東京で毎日電車に乗るのはちょっと気を使った。プレート手術をしたおかげで、基本は骨折中なのだが、見た目が普通の人と変わらないので困った。
「もし、走ってくる学生に当たられたら?」という恐怖の妄想で、頭の中が支配され周りをキョロキョロ見ながら歩く怪しいオバチャンと化していた。
そこで気がついたのだが、東京にはなんだか知らないがめちゃくちゃオシャレな若者が居る。渋谷が最寄りの駅だからか? と最初は思ったがそうではない。
行くところ、行くところにモデルさんか? みたいな細長い、おへそを出して、ヒラヒラした服を来て颯爽と歩いている女の子とかが居るのだ。全身黒ずくめの韓流スターか? みたいな男の子も時々居る。色白でお肌ツルッツルだ。
SNSなどを覗き見ていると、日頃の憂さをオシャレに注ぎ込んで、ストレス解消する若者が多いらしい。コンゴの伊達男「サプール」みたいなポジションなのだろうか。ともかく綺麗で見惚れてしまう若者たちだ。そう思ってよく見ていると東京の若者は全体的にスリムでオシャレだ。
そんな観察の後、久しぶりに大阪に4日ほど戻って電車に乗った時のことだった。「あれ、なんかちゃうな」とまず思った。なにが違うかというと、若い女の子の腕とウエストが東京の子に比べると圧倒的に太いのである。なんかむっちりしている。
「こ、これは由々しきことなのか?」私の頭の中はそれぞれの対比でパンパンに膨れ上がった。
大阪の子も、みんなそれなりにオシャレだし、可愛いのだが、どこかのんびりしていて、東京で見る「頑張ってるなぁ」というタイプの子は1人も発見できなかった。
結論として言えることは、大阪の子達はストレスを抱えたら、きっと「よく食べる」のである。そして「よく笑う」のだろう。洋服にお金を注ぎ込む前に「ムカつく〜、なんか食べに行こう!」と友達を誘い、ボヤきつつ飲み食いして、大笑いするのが目に見える。
要するに「自分へのご褒美」は綺麗な洋服ではなく、肉だと推察する。
その結果が腕とウエストに出ているわけだ。これはええことなんか? と考えてみたが、発散の仕方はそれぞれだ。きっと良いことなのだろう。
あなたは発散する時どちら派だろうか? 1万円のTシャツを買うか、1万円の肉を食べるか。「私やったらバーゲンで半額になっている1万円のTシャツを5千円で買うて、5千円の肉食べるわぁ。充分美味しいもん」という返事が聞こえてきそうだが、若者は相対的にストイックなので、どちらか選ぶわけである。
それが腕の太さに出ているという話だ。