ホームへ戻る > エッセイ&コラム > 大阪ん♪ラプソディー > 大阪ん♪ラプソディー【第126回】
先日、銀行のカードでお金を下ろそうとしたらエラーになった。劇団で使っている口座だった。今までエラーになったことはなかったので「コンビニで下ろそうとしたから?」「磁気エラー?」と色々考えたが、芝居の稽古中でめちゃくちゃ忙しい時期に困ったことになったと思い、次の日の朝一番に銀行に駆け込んだ。
すると銀行の人に「お客様、今までより高額な金額を下ろそうとなさいましたか?」と聞かれた。「高額… 20万円下ろそうとしましたが?」と答えると「今まで、8万円とか、それくらいですよね?」と言われた。
「それがなにか? 私の口座で自分が必要なので下ろそうとしましたが?」と少しイラっとして答えると。銀行の回答は次のようなものだった。「お客様はこのカードで高額な引出しをなさったことがなかったので、こちらでガードがかかったようです」要するに、高齢者などのオレオレ詐欺防止のようなシステムで止まったというのだ。
しかし、引き出しが出来なかった時に画面に出て来た文字は「このカードは引き出しできません」という文言だけだった。どこにも「銀行で問い合わせてください」とか「ガードがかかりました」なんて書いてなかった。私は自主的に銀行に行ったのだ。というか勝手になにしてくれてるねん! 忙しいねんこっちは! という怒りがふつふつ湧いてきた。
高額の引き出しをしてなかったから念のために止めました。とまるで正義のためにやっているような銀行員の顔を見ながら、この口座は劇団のもので、芝居の支払いの時期はパソコンで百万単位で振込してるけど、それはノーチェックなくせに、20万出そうとしたら止められるってどういうシステムなんや? とも言いたかった。
だが、私は怒りすぎると静かになる傾向がある。低い静かな声で「大変な迷惑です。とても急いでます。このカードを使えるようにしてください。」と言って差し出した。すると向こうも不味いと思ったのか「申し訳ございません。すぐに解除しますから… ご自身だと分かる身分証明…」という返事を遮って「免許証があります」とすぐに出した。
「申し訳ありません、お預か…」これも遮って「急いでください」と素早く言い放った。
相手の話を遮って、低い声で早口に話す。怒っている時はこれに限る。私のような背の小さい女は、見た目で舐められることが多いので「あ、この人、賢そう」と思わせる手である。案の定銀行員は慌ててカードと免許証を持って走って行った。カードはすぐに使えるようになったが、全日にガードがかかったので丸一日ガードがかかっていたことになる。なんという時間の無駄であったことか。
銀行も犯罪防止のためにいろいろ考えているのかもしれないが、大雑把すぎる。私があのカードしか使えない状況にあって、お金が下ろせないと大変な事態を抱えていたらどうなったのだろう。「親切だと思って止めました」では済まない。というか親切や正義はよく考えてから実行して欲しいものだ。