大阪ん♪ラプソディー【第14回】

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「お祭りの演出」


 どえらい仕事を請けてしまった。な、なんと西川きよし芸能生活50周年記念公演の演出である。
 他県の人はピンと来ない部分もあるだろうが、大阪ではお笑いの芸人さんは相当な人間的地位を得ている。中でも西川きよしはビッグネーム中のビッグネームだ。その人が記念公演に「コメディ水戸黄門」を演じるというなんとも絶妙な取り合わせの作品に演出として関われるとは!大阪人としてこれほどの名誉はない。
 なんてたって、子供の頃からテレビで見てきた人である。笑いの神様のひとりと言っても過言でない。その人に私が駄目だしする立場なんである。しかも何か言うと「はい、分かりました」と聞いてくれるんである。ああああ。勿体無いやら、不思議やらという毎日を送っている。
 どこに行っても「え?きよし師匠の芝居の演出?偉なったなぁ」と感心してもらえ、自分の手柄でもないのに「いやぁ、それほどでもないですよ」なんていい格好して過ごしてる自分が自分ではないみたいだ。
 おまけに今回は森昌子が特別出演している。同世代の私にとってはずっとずっとテレビや雑誌の中の人だった。彼女が稽古場に居るだけでもドキドキなのに、ものすっごく気さくで、しかもコメディに挑戦する心構えがあり、自分の歌でギャグをしてくれたりする人だと知ってなお驚きだった。
 ただ、ひとつ問題といえば…きよし師匠も森昌子さんも人がよすぎることだろうか。きよし師匠は若い役者に気をつかってお菓子を買って来て配ったり、芝居の稽古をしててもど真ん中でドンと居て欲しいのに、助さん、格さんよりも後ろに立っていたりする。
 森さんも人の着替えを手伝ったり、私の飲み物を心配してくれるような人柄だ。
「あんたら芸能人やからじっとしてて!」という駄目を出すと2人とも少し悲しそうな顔になるくらいである。
 そんな現場で過ごしているのだが、なにより嬉しいのは大阪の演劇の新しいお祭りのような舞台に関われたことだ。
 笑う角にには福来る!どんなことがあっても笑えるくらいまで消化するのが上等の人間だというのが大阪人の根本思想だ。演出頑張りまーす!

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