大阪ん♪ラプソディー【第19回】

大阪ん♪ラプソディー

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「おかしな日本語」


 先日、夜の1時過ぎくらいに帰宅を急いで歩いていた。東京で仕事中で借りている部屋に戻るためだった。大阪でも1時になると人もたいして歩いてないが、東京では終電が遅いため、ちょうどその時間が夜のラッシュみたいな状況で、夜道とはいえ賑わっている。(場所によりますが)
 その夜も私の少し後ろを学生と思われる男の子が二人歩いていた。ちょうど歩調が一緒で彼らの声がずっと聞こえる状況で駅から数分間…
 「アツシさんってホント女好きなんだよ。その癖酷くてさぁ。この間もチエちゃんに好きだ好きだって言って、その後で俺に『あの子名前なんて言ったっけ?』って聞くんだよね。ざけんじゃねぇって思わない?」
「ひでぇな。それヤバくない?」
「だろ?ざけてんだよ、あの人」
 ただの若者の戯言である。しかし何回も「ざけんじゃねーよ」と言ってる男の子の声を確かめたのだが、どう聞いても「ざけんじゃねーよ」と言っていることに気が付いた。「ふざけんじゃねーよ」が少し下品さを増した言葉が「ざけんじゃねーよ」なのだが、その場合は「ざ」で始めるのではなく、小さい「ん」が入る。「んざけんじゃねーよ」というのが正解だ。
 しかし彼は「ざ」から言っている。「ふ」はどこに言ったんだ?ふざけるなっと内心思いながら、ふと考えた。彼はわざと言ってるのではなく、本当に「ざける」という言葉があると思っているようなのだ。
 「雰囲気」を「ふんいき」ではなく「ふいき」だと信じていた劇団員や、「種」を「ネタ」と読んでいた後輩。「北斗の拳」を見て育ったので喧嘩の時に「アタタタタ」と高い声を出した男…現代人はすでに外国人と変わらない、というイメージはあったが、「ふざけるまでもが…ざけるになったのか」と思うとちょっとショックだった。たしかに漫画の噴出しに「ざけんなよ、コノヤロー」とか書いてあるので、若者がざけても仕方ないのかもしれないが…
 そういえば今ではすっかり全国区になった大阪弁のひとつ「メチャメチャ」と言う言葉も昔は言わなかった。無茶苦茶がメチャクチャになりメチャメチャになったのはここ数十年の間だ。
 言葉は進化(退化?)するものなのかもしれないが「ふざけんなよっ」と言いたい時もまだまだある。

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