ホームへ戻る > エッセイ&コラム > 大阪ん♪ラプソディー > 大阪ん♪ラプソディー【第52回】
あなたには何か信じているジンクスがありますか? ゲンを担ぐことはどうですか?
私はいたってそういうものを気にしないタイプの人間なので、何か決まった行動などはしない方だ。女としては実に可愛げがないと言われるが、占いとかも聞いてもすぐに忘れてしまうので気にしたことはない。しかし、この間思い切りゲンを担いで、来年の手帳を買いに行った。
実は一昨年まで10年以上使ってた高橋手帳というオッサンが好んで使うビジネス手帳を使っていたのだが重いので、今年からスケジュール帖と、メモ帳を分けることにしたのだ。軽い方が持ち運びにいいし、そろそろ飽きたしなぁ。という軽い気持ちだった。
ところが10月に入り、そろそろ来年の手帳をどうしようかと思った瞬間に、大昔仕事関係の人に言われたことを思い出した。
その人は大阪の電通という広告関係の会社に居たおじさんで、切れ者で有名だった。当時まだ30代だった私に「ええか、予定表は大きいのにしときや。小さいのにしたら仕事減るで。分厚いの買うたらそれに見合った料の仕事が入って来るもんや」と言っていた。
ぐぉぉぉぉ! あの言葉は嘘ではなかったかも? と頭の中で彼の言葉が駆け巡った。というのも、今年は春以降、芝居の現場はバタバタしていたが、長年連載していたコラムの終了や、教えに行っている学校の授業の延期などで、定期的にやっていた仕事がトンとなかったのだ。そんな年もあるかと気にしてなかったのだが、ひょ、ひょっとして予定表が薄くなったせいなのか? と思ったら、居ても経っても居られずに、思わずミナミまで高橋手帳を買いに行ってしまった。
自分がいかにジンクスに弱く、ゲンを担ぐ人間か改めて知ったような思いだ。1年ぶりに手にする高橋手帳は相変わらずオッサン臭く、色気のないただのビジネス手帳だが、まるで戎っさんが宿っているように福の神に見えてきた。今は「これで仕事増えたらええなぁ」と営業努力もせずに手帳をウキウキ眺めている。「形から入るのも大事!」と普段と真逆のことも平気で言っている。
「定収入ゲンかつぎで取り戻せ!」その日に詠んだ句である。浅ましいですねぇ人間って。あ、私だけですか?