大阪ん♪ラプソディー【第69回】

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「遺産」


 この間、見知らぬ男性が訪ねてきた。なんでも徳島県から来たと言う。徳島と言えば父親の故郷である。伯父が住んでいたが亡くなったので、もう親戚は居ない…はずだった。
 「僕はK子の甥です」と彼は言い放った。伯父の奥さんの名前だ。我が家の男どもは女性にインスパイアされる人間が多いようで、死んだ親父も数回結婚しているし、異母兄弟の兄も2回ほどしている。
 叔父さんはというと、既婚のままずっと徳島のK子さんと同棲していて、最後には本妻と離婚して、彼女と再婚した。
 長年、不倫状態だったのに、ついには彼女と結婚したのだから、ある意味誠実だったのだろう。
 そういうことで、K子さんは法律上、私の叔母になっていたのだ。もちろん、ほとんど付き合いはなかった。だから亡くなったことも知らなかったのだが。
 で、冒頭の甥っ子さんだ。「実は、徳島の叔母の家と土地のことなんですが、あなたは相続の権利があるお一人です。」と言うではないか。
 「なんで?」と聞き返しそうになったが、彼らには子供がいなかったので、回りまわって、そういう権利が私にもあるらしい。伯父が住んでいたのはそういえば、父親の実家だった。
 訪ねてきた彼は「出来たら譲っていただきたいんです。」と言って、徳島名産の竹輪や、スダチを大量に持ってきて低姿勢だった。そう、私は食品に目が眩んで、土地の大きさやお値段も聞かず「いいっすよ」と権利を放棄した。
 どのみち徳島には行かないし、伯父と付き合いのなかった私には頂く謂れもないので、話はすっきりと納まった。
 しかしあれ以来、土地の相続という問題が頭の中に残っている。実は50歳の誕生日に友達から金星の土地の権利書をを貰った。たしか1エーカーだ。
 私が死んで、誰かが相続することになる時、まだ金星に旅行に行けるような時代になってないと思うが…今のうちに売るべきか? 悩みどころだ。  

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