ホームへ戻る > エッセイ&コラム > 大阪ん♪ラプソディー > 大阪ん♪ラプソディー【第78回】
医学の発達や食文化の進化により、年をとるという観念が変わって来たので、皆が若くあるという事に躍起になっている気がする。
私の父は40年ほど前に72歳で亡くなった。どこから見ても「おじいちゃん」であったし、本人も十二分に自覚していた。
私は父が56歳の時に生まれたので、幼稚園に行く頃には60歳を超えていた。当然だが「おじいちゃんがお迎えにきてるよ」と先生が言っていたものだ。ただし洒落男でダンディを自負していた父は憤慨して「君の迎えには二度と行かない」と言い、その後も小学校の父兄参観などにも一度も来たことはなかった。
しかし本人が拗ねていようが、じいさんはじいさんである。そこのところはしょうがない!と子供の私でも思っていたものだったが…
何だろう最近の初老の皆さんは孫に「ジイジ」とか「バアバ」と呼ばせる。あの、あがきのようなものはいったいどういうつもりなのだろう?
バアバって、要するにババァってことやん!と思うのだが、一般的に若いおばあちゃんをお洒落な言い方で呼ぶ、みたいな風潮になっていて多勢に無勢、すっかり市民権を得た言葉になってしまった。
この際、女性はまだ良いとしよう。ジイジってなんだ! ジイジって! ジジィじゃ嫌なのか? まだアルプスの少女ハイジのおじいちゃんみたいに「オンジ」と呼ばれている方がすっきりするぞ! と私は世の中のジイジにいつもツッコミを入れている。もちろん心の中でだが。
この間はついに「バアバ」ではなく「バーバラ」と孫に呼ばせている人に出会った。「だって、バアバって、やっぱりおばあちゃんの事やもん」と言う理由らしい。いやいや、バーバラって日本人ちゃうし。もはや祖母というものの原型ないし。と思ったが、あんまりおもしろかったので芝居の台詞にも使ってしまった。
すると、その芝居を観た人が「うちの孫にもバーバラって呼ばせよう」と言い出した。あわわ…私のせいで変な文化が根付いてしまったら、どうしよう…ちょっと反省している。
バアバがバーバラに進化するのなら、ジイジはジをとってジーザスとか、ジオンとかになるのだろうか…もうそうなったら人でもないし、神とかアニメやん! と思いながら、今後の世の中のジジィとババァの呼ばれ方の推移を見守っているような次第だ。平成も終わりますしねぇ…どうなりますことやら。