大阪ん♪ラプソディー【第79回】

大阪ん♪ラプソディー

ホームへ戻る > エッセイ&コラム > 大阪ん♪ラプソディー > 大阪ん♪ラプソディー【第79回】

「誕生日」


 一月中、芝居の本番で大阪、東京、相模原、札幌と四都市を巡っていた。なんならその間に大分の仕事にも行き、あっちこっちに行っていた。忙しくも楽しい二〇一九年の幕開けだった。
 その間、いろんな知り合いの誕生日があり、その度にお祝いを言い、バースデーソングを歌った。そして「一月って誕生日の人多いよねー」とのんびり言う人に「三月の春休みに仕込んだ子やったんやなぁ」と言ってはビックリされた。「ええ? そんなこと考えたこともない」と皆一応に言うのである。
 私はその度に「いやいや、だってそうやん。十月十日で生まれるんやから」とまた言って、さらにヒンシュクや爆笑を得て過ごしたのだった。
 中には「そう言うたら俺も兄貴も六月生まれや」と言い出した役者も居た。お父さんが銀行勤めをしていたらしく、忙しかったのでお盆くらいしかゆっくりできなかったのだろうと、彼は感慨深げに言った。
 ある者は「私、八月やからなぁ。親が秋になんか旅行したんかしら?」と考え、ある人は「私三月、明らかにゴールデンウィークの子」と笑った。
 私は二月生まれだが、未熟児なのでおそらく両親の仕込みは5月だったと思われる。当時父は客船の仕事をしていたので、年に数回しか帰ってこなかったと言うから厳密に調べれば日にちまで分かるだろう。
 一月、三月、六月、十月生まれが多いのは、お彼岸、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始という日本の連休の賜物なのである。
 何故そういうことを考えるようになったかというと、中学からの親友が十月九日生まれで、初めてあった時に「私の誕生日十月九日やねん。親が大晦日にセックスした証拠やわぁ」と言い放ったからだ。当時、十三歳の乙女であった私は「こいつ、なかなか言うな。ただ者ではあるまい?」と彼女に一目置いたものだ。それが理由で親友になったわけではないが。(ちなみに今はごく普通の服飾デザイナーです。)
 自分の誕生日から両親がどんな生活をしていたかを想像するのは楽しい事だ。それがセックスのことなので、モラルの堅い日本人は何となく考えないのだろうが、本当は自分に一番関係する出来事なのだから大いに想像すべきだと思う。
 「うちの親も春休みにエッチしてんなぁ」と思うだけで、両親がグッと身近な存在に感じられるようになる。日ごろの強面で厳格な親父も、厳しい母も、みんな、みんな生きているんだ♪ 人間なのだ♪ と思えたら、親子関係がギクシャクしている人もきっと頭が柔らかくなるだろう。  

▲トップへ

社長ブログ 広報ブログ エッセイ&コラム お客さまインタビュー 特別インタビュー ばね百科事典