ホームへ戻る > エッセイ&コラム > 大阪ん♪ラプソディー > 大阪ん♪ラプソディー【第85回】
母が大往生して二か月がたった。仕事でバタバタしていてまだ死亡届を出して、国民保険関係と年金の窓口に連絡しただけだ。そろそろ生命保険やら、銀行の手続きもしないといけない。
亡くなる数年前から銀行の通帳も預かってお金の管理も私がしていたし、電気やガスの名義や支払いも切り替えてあったので、普通の人より手続きは少ないと思うが、それでも大変だ。
それにしても、今回は入退や治療費、保険のことに葬式代など、実に多くのことを学んだ。大阪市民なら斎場で火葬してもらうのは1万であることも知った。意外に安い? しかし不慮の事故なので亡くなった地方の人だと6万くらいするとか。税金を払っているかどうかの問題だろうか。
とは言え、母が死んだら、あとは自分だけなので今回の学習が次に生かされることがないのが残念だが… 特に「お寺さん」というシステムに関しては驚いたり、感心したりさせられた。
我が家は、40数年前、父が死んだ時に四国にあった本家のお寺を墓終いして、神戸にお墓を新設した。元々はそのお寺のそばに両親が引っ越す計画があったからだ。
しかし思いのほか父が早く死んでしまったために、引っ越しもせずお墓だけが神戸にあり、私たちは大阪からお参りに行くという不便なことが起きていた。それでも母は通っていたが、死ぬ数年前に「もう、あそこは墓終いして、私が死んだら宗派の関係ない大阪のお寺にしてほしい」と言い出した。お寺も指定していたのでそうするつもりだ。
母が亡くなった時に葬儀屋さんから「何宗ですか?」と聞かれたのだが、もう何宗でもいいですと答えたが、そういえば生前戒名を持っていたなと思い出して、親戚にお墓まで見に行ってもらった。生きている間に戒名を付けると墓に赤字で名前が刻まれるのだ。
すると、我が家は現状で臨済宗だということが分かった。葬儀屋にそれを伝えると「わぁ、臨済宗ですか。一番高いんですよねぇ。ここだけの話。お布施が高いから檀家離れが多いらしいですよ」と聞かされた。
おまけに「戒名、先に付けてはったんですか。それは何よりです」と言うではないか。ネットで調べると臨済宗のお寺で戒名を付けると100万くらいすると書いてあった。「お母ちゃん、ありがとう! よう先に付けといてくれた」と初めて心の底から母に感謝したくらいだ。
もちろん、日本には昔から地方の成り立ちとお寺の関係があるので文句を言う気はないが、我が家のような無信心な家にとっては、実に奇妙なシステムだ。
簡単に墓終いするつもりだったが、そうなったらお幾らするものなのか。あんまり高額だったら値切っていいのか?とか、今からハラハラドキドキである。