ホームへ戻る > エッセイ&コラム > オリンピックロード…リオへ向けて > 【第6回】
今年になって、クロアチアで100日ほど過ごしている。
こんなに長期間、海外で生活をするのは初めてだ。
海外生活の経験により、以前よりも英語が話せるようになってきた。
私が初めてクロアチアを訪れたのは昨年の11月。
練習後にクロアチア人と私を含む4人で食事をしていた。
私は英語に自信がないことから、話しかけられない限り自分から会話をすることはなかった。
その時、一緒に練習していたクロアチアのダニエル選手に「あなたはシャイなの?」といわれた。
この一言が、私の意識を変える大きなきっかけになった。
考えてみれば、英語を学ぶことができるよい環境にいるにもかかわらず、自分から話をしないなんて、もったいない。
もちろん、私はヨットの技術を習得するために、クロアチアに来ている。
しかし、海外で活動するアスリートにとって語学力は必須である。
まずは自分の英語が正しいかどうかは関係なく、自分から積極的に話しかけることを心に決めた。
話題は何でもよい。ヨット・天気・生活など、さまざまである。
辞書を持ち歩き、わからない言葉があればすぐに調べる。
そして、その単語や文法を忘れないうちに、他の場面で使用する。
一度、会話の中で使用すると不思議と頭の中にインプットされる。
この日々の積み重ねで、少しずつではあるが外国人と会話ができるようになってきていると実感する。
文化の異なる人との会話は面白い。
先日、モンテネグロのミーチョ選手と会話をした。
彼の本名はミリボジュというが、外国人はニックネームで呼び合うことが多く、私もミーチョと呼んでいる。
話題は日本について。
ミーチョ「あなたは日本のどこに住んでいるの?」
自 分「私は京都に住んでいます。京都ってわかる?」
ミーチョ「東京と名古屋は知っている。ここは大きな街だよね。
京都は大きいの?」
自 分「まあまあ大きな街だよ。」
ミーチョ「京都で侍を見たことある?」
ミーチョは本気で、日本には侍が未だに存在すると思っていた。
私が一度も見たことがないと言ったら、彼は少し驚いていた。
私も彼と同じように、海外の文化について、誤って認識していることがあると思う。
語学力を磨き、外国人と会話をすることで今まで間違っていた自分の知識について気付くことがある。
せっかく海外で生活する機会が多いのだから、ヨットの技術だけでなく、その国の文化についても学んで日本の皆さんに伝えていければと思う。