ホームへ戻る > エッセイ&コラム > オリンピックロード…リオへ向けて > 【第7回】
先日、クロアチアから帰国して、神奈川県・江ノ島ヨットハーバーで合宿をしていた。
練習を終えて、陸にあがると数台のカメラと何名ものテレビ局の方が取材に来ていた。
そして、あるアナウンサーが私に声をかけてきた。
アナウンサー 『ヨットの日本代表の方ですか?』
私 『はい。そうです』
アナウンサー 『日本テレビのnews everyです。取材をさせて下さい』
この日、東京オリンピック、ヨット競技の会場が江ノ島ヨットハーバーに決定したのだ。
東京オリンピックの会場が東京都ではなく、神奈川県になったので、競技者からのコメントがほしいとのことだった。
取材の中で『2020年・東京オリンピックの開催にあたって、安田選手の個人的な思いを伝えて下さい』との質問を受け、少し戸惑った。
現在、2016年・リオ・オリンピックに向けて活動している私には、さらに四年先の話をされてもすぐには言葉が出てこない。
アスリートの目線で見れば、オリンピックは四年に一度、世界最大のスポーツ祭典であり、誰もが夢見るビックイベントである。
しかし、別の方向から見ると東京オリンピックでは、およそ3兆円の経済効果があると見込まれているが、競技施設の設置やオリンピック後の維持なども心配されている。
個人的な意見として、オリンピック開催国には、メリットとデメリットがある。
オリンピックの開催国には、今まで以上に強化費がおりる。
そして、各競技団体はメダルがとれる選手を育成し、メダルの数で評価をする。
確かに、メダルの数も大切だ。しかし、オリンピックはそれがすべてではない。
私は多くの国民がオリンピックを実際に観て、スポーツを身近に感じ、関心を持ってくれることを願っている。
さらに、自国開催の場合、開催国の特権として、すべての種目に参加資格が与えられる。
自国開催によってオリンピックに出場する選手の数が、通常のオリンピックよりも大幅に増加する。
出場枠が増加すれば、競技人口も増加するだろう。
競技結果だけではなく、日本のスポーツ界が活性化することも、2020年・東京オリンピックの意義だと思う。
2020年、私は選手として出場できるのか、観客として見守るのかはまだわからないが、今後も何かの形で日本のスポーツ界を盛り上げていきたい。
2020年・東京オリンピックが楽しみだ。