ホームへ戻る > エッセイ&コラム > オリンピックロード…リオへ向けて > 【第11回】
先月、イングランドで開催されたラグビーワールドカップ。
日本代表は予選リーグ敗退したものの、強豪である南アフリカ戦に勝利し、海外のメディアには「歴史的番狂わせ」と報道された。
またグループリーグで3勝したことから、注目を浴びた。
中でも五郎丸選手がキックの前に行う、両手を合わせるようなポーズはメディアに大きくとりあげられた。
このポーズをすることによって、体幹を調整したり、キックのイメージを確認している。
いわゆる「習慣・ルーティーン」というものだ。
先日、とあるヨット関係者と食事をする機会があり、その男性は私にこう言った。
男性:「ラグビーで五郎丸という選手を知ってる?」
私:「はい、知っています」
男性:「あの選手は試合中、いつも同じルーティーンを行って集中力を高めてるんだよ。
安田君も同じようにいつも決まった動作をしたほうが良いよ」
男性は私にルーティーンを行うことを勧めてきた。
メディアの情報では、まるで特別な力が発揮できる魔法のようにも解釈ができる。
私の考えでは、ルーティーンとは、いつもと同じ動作を行うことによって、周囲の変化に影響されることなく、自分の持っているパフォーマンスを100%発揮できるというものだ。
つまり、そもそも持っている能力以上の期待はできないということである。
根拠のないことが嫌いな私は、今までルーティーンといわれる行動をやってこなかった。
しかし、よく考えてみれば、デメリットは無いように思う。
もし効果がなかったとしてもマイナスになる要素はない。
ゼロ以上の結果が得られるのであれば、実行する価値はあるのではないかと思う。
海外の試合では海、風、食事、言葉などすべてが違う環境で、いつも通りのパフォーマンスを発揮することは難しい。
もちろん、風、自然、相手はコントロールすることができない。
しかし、すべてがコントロールできないわけではない。
例えば、野球のイチロー選手が毎朝カレーを食べていたように、食事をコントロールすることは可能である。
いつも通りの行動が「心身共に安定したプレー」につながるのだろう。
小さい行動の積み重ねが、大きな結果を生むことを信じて、今後は私だけの「ルーティーン」をつくることに決めた。