オリンピックロード…リオへ向けて【第12回・最終回】

オリンピックロード…リオへ向けて

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「21年目」


 今年でヨットを始めて21年目になる。
なぜこんなにも長い間、競技を続けてこられたのか? と不思議に思うことがある。

きっかけは小学校3年生のときに、父親に連れられ、琵琶湖のジュニアヨットスクールを訪れたことだった。
初めてヨットに乗ったときの記憶は「楽しい」とか「爽快」というものではなく、苦痛でしかなかった。
当時は、思い通りに操船できなくてヨットがひっくり返り、真冬の琵琶湖で泣き叫んでいた。
先に始めていた小学生達が、まるで自分の手足のようにヨットを操船している姿を見て、「悔しい」と感じたことを未だに覚えている。
このとき味わった悔しさが、私のヨット人生の始まりだった。

それから競技に打ち込んだものの、小〜中学校の間は、全く結果を出すことができなかった。

 高校2年生のとき、国民体育大会・少年男子の部(高校1年〜3年まで)で優勝し、やっと日本一を経験することができた。
次は日本代表になりたいと思い、大学でも競技を続けることを決意し、鹿児島の大学に進学した。
大学3年のとき、初めて日本代表に選ばれ、思いが現実となった。
嬉しさと同時に、次はオリンピックで金メダルを獲りたいという思いが生まれた。
こんな気持ちで競技を続けているうちに、気がつけば21年も経っていた。
好きな事に打ち込んでいると、時間の経過が早く感じる。

 思い返せばこの21年間「好きな事ばかりやっていてもいけない」と周りから言われた事が何度かある。
確かに正論かもしれない。
これは、遊んでばっかりいる子供に「勉強もしなさい・スポーツもしなさい」と指導をすることと似ていると思う。
その子供が、中途半端な気持ちで快楽のために遊んでいるなら適切な指導だと思うが、遊ぶ事に全力を注いでいるなら話は別なのではないだろうか?

どんな事にも全力で取り組む事は大切で、好きな事でも、とことんやってみると結構しんどいものである。
しかし、この苦労がその人の人生を楽しませてくれる。

他人の目や評価を気にして生きるのも人生。
自分の好きに生きるのも人生。
だったら思い通りに、とことん生きてみたいと私は思う。

 これで「オリンピックロード…リオへ向けて」のコラムを終わらせていただきます。
こんな私の背中を押して下さった三協精器工業株式会社の方々や、毎月エッセイを読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
私からの感謝の気持ちは、来年8月に開催されるリオ五輪の結果で返します。

Good wind for you!!

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