ホームへ戻る > エッセイ&コラム > 全盲ヨットマン岩本が「みる」世界〜太平洋横断の冒険〜 > 【第3回】
後悔にはやらずに後悔することとやって後悔する二つのタイプがあると思います。
皆さんは、あの時あれをやっておけばよかったと思うことと、あの時あんなことやらなきゃよかったと思うこととではどちらが多いでしょうか?
私はやらずにあとで後悔するのが嫌なのでなるべくやりたいことを行動に移すようにしています。
大学時代、英語をもっとマスターしたかったので、サンフランシスコ州立大学に留学しました。
留学中、日本が恋しくなり、また経済的に苦しくなり、何度となく「どうして自分はこのような苦しい道を選んでしまったのだろう」と後悔することも度々でした。
もう28年程前ですので今のようにスカイプやフェイスタイム等でビデオ通話などできません。
E-mailさえまだやっていませんでした。
25セントコインを手のひらいっぱいに抱えて公衆電話に向かい日本に電話していました。
コインが途中でつまってしまい回線が切れてしまうことも度々でした。
日本食レストランに行くお金がなく、日系スーパーでさんまの塩焼きを買って帰りそれを焼いているとアメリカ人のルームメイトに臭いと言われ、それ以来二度と焼き魚を料理できなくなったり…。楽しいことより後悔することのほうが多かったような気がします。
5年前の辛坊さんとのヨットでの太平洋横断についても、救助された直後は、「どうしてこんな夢を持ってしまったんだろう」と、やったことに対して後悔していました。
「自分さえこんな夢を持たなければ、こんなに多くの人たちに迷惑をかけずに済んだのに…。」と、しばらくは落ち込んでいました。
しかし今では留学したこと、太平洋横断にチャレンジしたこと、少しも後悔していません。
むしろこれらのチャレンジをやったから今の自分があるのだとポジティブに捉えています。
もしもあの時留学していなければいまだに後悔し続けていることでしょう。
5年前に太平洋横断のチャレンジをしていなければ、皆さんにこのようにしてコラムを書かせていただく機会を得ることもなかったことでしょう。
そうです、やって後悔する後悔はのちに小さくなり、やってよかったと思えるようになります。
しかし、やらなかったことに対する後悔はずっと残るどころかどんどん大きくなったりネガティブになったりするケースが多いと思います。
「あの時やっておけばこんな自分ではないのに…。」と変化を望んでいたにもかかわらず変化していない自分にネガティブな感情を抱くようになります。
皆さんの心の中に、なにか今やってみたいということはありませんか?
ジムに通って痩せたい、ヨガをやってより健康的なライフスタイルを送りたい、新たな資格を取ってより会社のために働きたい…。
もしもあるとしたらすぐに行動しましょう。
将来、やらなかったことに後悔しないためにも。