ばね百科事典
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ばねの製造
- コイルばねの製造工程
代表的なばねであるコイルばねのうち、圧縮コイルばねに関する製造工程について説明していきます。
何百メートルにもわたる長い線材がコイルばねの材料です。コイル状に巻かれた線材は、材料リールスタンドにセットされ、矯正ローラーによってくせや曲がりを直しながら、線送りローラーによって次のコイリング工程へ押し込まれていきます。
線送りローラーで押し出されてくる線材は、ワイヤガイドによって位置を固定され、コイリングピンと呼ばれる工具に当てられ、コイル状に成形します。事前に設定されていた長さが線送りローラーから押し出されると自動停止し、上から切断刃と芯金によって切断されます。
成形の終わったばねには、低温焼なましという熱処理を行ないます。これはばね全体を数100℃で加熱し、コイリング時に発生した残留応力を減らし、強度と耐久性を高めることにつながります。
圧縮コイルばねは、コイリング終了後に端部を研削処理して平坦にするのが一般的です。ばねの端部を平坦にするのは、荷重(応力)の偏りやばね端部が当たる部品の損傷を防ぐのが目的で、研削には「エンドグラインダ」と呼ばれる機械が主に使われます。
ばねの強度と耐久性を高めるために、ばね表面に金属の粒子を高速で打ちつけるショットピーニング加工を施します。
セッチングは、ばねに弾性限界以上の荷重(セッチング応力)を加えることで、使用中のへたりを防止し、同時にばねの静荷重時での使用限界荷重を高めることにつながります。
防錆対策では、ステンレスなどの耐食材料を使用するほか、各種メッキやさび止め油、塗装、化成処理などを行います。
ばね表面にある微細な異物や汚れを取り除き、寸法検査のほか、荷重特性を荷重試験機で検査します。

